今年も大阪・吹田市で行われた学童野球大会「目指せ!愛媛・スポ少2026 2DAYs IN SUITA」に1月24日、お邪魔してきました。昨夏の高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントにおいて、前人未到の同大会8度目優勝を果たした“常勝軍団”長曽根ストロングス(大阪・松原市)さんが主催されている、各地の強豪チームが集う大会です。全国の名だたるチームが集まるこの大会は、私自身、毎年、気持ちを新たにする、新年の恒例イベントなのです。
衝撃的過ぎた、10年前の一戦

2015年8月12日──。今から10年半ほども前の夏の日、私は家族と一緒に、東京・大田スタジアムのスタンドにいました。この日行われた、高円宮賜杯第35回全日本学童軟式野球マクドナルド・トーナメントの決勝を見るためです。対戦カードは、長曽根ストロングス×東松山野球スポーツ少年団。5度目の日本一を目指す大阪府代表・長曽根は、埼玉県の強豪・東松山を序盤から圧倒し、大勝で賜杯を手にしたのでした。
フィールドフォースを立ち上げて9年目。まだ「ボールパーク」はなく、売り上げの多くを各種OEM(他社ブランドの商品製造)に頼っていた時期のことです。
目の前で繰り広げられる戦いに、私は衝撃を受けました。これが学童野球の頂点を競う戦いなのか、と。走攻守、すべてが私の想像できるレベルをはるかに超えていたのです。これが何度も日本一に輝いた、長曽根ストロングスの野球なのか…。
思い立ったら即、行動です。私は早速、長曽根さんのホームページを見て、当時チームの事務局長をされていた、現監督の辻本茂樹さんに連絡を取りました。一度、練習を見せてもらえませんか、と。平日は火曜と木曜に練習をされており、「いつでも来ていただいていいですよ」との返事。早速、大阪に車を走らせたのでした。
ひたすら続く練習とスウィングチェアー

長曽根が平日練習を行っている松原市民運動広場で目にしたのは、今も変わらない、凛とした空気が張り詰める、独特の練習風景でした。決して明るいとはいえない、電灯の照明下、何台ものピッチングマシンがずらりと並び、選手たちが交代しながら、ひたすらマシンが投じるボールを打ち込んでいます。ボール拾いをするのは選手の父母。選手はとにかくバットを振り続けるのです。
打撃練習を一通り終えると、次には、野球経験者と思われる父親が、手加減なしの全力のノック。矢継ぎ早の厳しい打球を処理する守備練習が、これも延々と続きます。「ノックを浴びせる」という表現が、まさにぴったりな練習です。長曽根の選手たちは、その強く速い打球を軽々とさばき、守備範囲ぎりぎりの打球は飛び込んでキャッチ。激しすぎる練習内容と、驚くべき選手たちの集中力──。私はあっけにとられながらも、その様子を目に焼き付けるように見ていました。
そんな練習ではありましたが、試合のときとは打ってかわり、熊田耐樹総監督が時折、選手に向かい冗談を飛ばす、そんな家族的な空気も印象的でした。

そのとき、私は一つの新規商品を東京から持ってきていました。現在は廃番となってしまいましたが、「スウィングチェアー」という商品です。熊田総監督にお願いし、試していただいたところ、「これはいいよ!」となり、次の瞬間には、「ウチでよかったら、なんでも宣伝しますよ。名前もどんどん、使ってくれればええ」。そんなやり取りで、あっという間に打ち解けることができたのです。
長曽根と、熊田総監督の名前を前面に打ち出した商品PRは、伺いを立てた全日本軟式野球連盟(JSBB)からのNGにより実現しませんでしたが、このときも熊田総監督は「ウチはかめへんから、吉村さんの良いようにしてくれたらええですよ」と、全面的にこちらの側に立ってくれたのでした。
2DAYsを協賛することに

その年の年末のことです。辻本さんから連絡をもらいました。年明けに、全国大会を目指すチームが集まって戦う2日間の大会を開いているので、そちらを手伝ってもらえないでしょうか、というものでした。
もちろん、一も二もなくオッケーです。
連絡をいただいた半月後、当時、10人そこそこだった、フィールドフォースの社員総出で大阪に行き、大会会場である舞洲のグラウンドで、テントを出してブース展開をしたのです。そうして、この大会への協賛・協力が始まったのでした。熊田総監督がフィールドフォースを多くの指導者の方々に、仲間の一員としてご紹介いただいたことは、今も忘れることができません。
当時のフィールドフォースはOEMによるBtoBの商売が多く、自社ブランドの製品もネット通販がほとんどでしたから、お客さんの生の声を聞く機会はほとんどありませんでした。この大会のために集まった、全国でも名だたる監督たちの声を聞き、その情熱に触れることができたのは、それまで経験のない貴重な体験でした。もちろんそれだけではなく、その後、OEM製品の製造から脱却し、フィールドフォースの自社ブランド製品だけで勝負していくための、大きなモチベーションにもなったのでした。
大阪から始まった、忘れ得ぬ出会い

こうして始まった長曽根ストロングスさんとの交流。その中には、熊田総監督からの紹介により、忘れることのできない出会いもありました。
遠く札幌市から参加していた東16丁目フリッパーズは、2016年の第36回全日本学童大会(長曽根が2度目の連覇!)で3位入賞を果たすだけでなく、その翌年(2017年)には同大会で優勝し、北海道における学童野球の歴史に、新たな1ページを刻んでみせるのでした。
長曽根・熊田総監督を師と仰ぐ笹谷武志監督には、その後、ボールパーク札幌のオープンにあたり、計画段階からご助言をいただくなど、現在に至るまで、フィールドフォースに対して、様々なご協力をいただいております。
多賀少年野球クラブ(滋賀・多賀町)の辻正人監督との出会いも、この大会でした。熊田総監督からご紹介いただいたときのことを、今も覚えています。
多賀少年野球クラブは当時、すでに全国大会でも幾度となく上位入賞を果たすなど、十分な実績を持つチームでしたが、東16丁目優勝のさらに翌年、2018年と2019年の全日本学童大会を連覇し、その高名を不動のものとします。
辻監督からは、同クラブが主催となって開催を続ける、小学3年生チームの大会「多賀グリーンカップ」の存在を聞きました。辻監督の呼び掛けに呼応し、「グリーンカップ」は本家である多賀町の大会だけでなく、全国各地で始まります。フィールドフォースも大会趣旨に賛同し、現在もその多くで協力を続けています。
学童野球のカテゴリーでいえば、一般的には「低学年」というと4年生以下を指すことがほとんどで、グリーンカップの主役となる3年生の選手たちは、それまで試合経験も、上の学年のチームに入って補助的に…ということが通常でしたから、その意味で、画期的な大会といえます。野球はやはり、始めたばかりであっても、練習だけでなく、試合をした方が楽しい。こちらもまた、大会のご協力をさせていただくことに、大きな意味を感じています。
今年も暖かく迎えていただきました

昨年の万博開催の影響により、今年も大会は舞洲ではなく、吹田の万博記念公園で行われました。そこでも、今では顔なじみになった、多くの熱き指導者たちからお声掛けをいただきました。商品に関する意見はもちろん、叱咤激励、さまざまです。
また、大会中、試合前の調整といった意味合いが強いとはいえ、全国大会上位レベルのチームが練習をする中にフィールドフォース製品を見つけることは喜びでもあり、そうしたチームが効率よく行っている練習風景からは、新たに多くの刺激や、新製品開発への大きなヒントをもらいます。
残念ながら、都合により今回は大会初日のみの参加で、関東にとんぼ返りせざるを得ませんでした。心残りではありましたが、限られた時間ながら、多くの熱い戦いを見ることができました。今年もこの大会に参加したチームから、多くの全国大会出場チームが生まれることでしょう。
そうしてバタバタと大阪を後にしたのですが、今ではありがたいことに、その中でも多くの方とSNSでつながり、日常的にも意見をお聞きできる環境にあります。実際にお会いしたときにも、共通の話題は多くなりました。この10年間における大きな変化であり、以前よりも近い距離間で、指導者の皆様とつながれていることを実感します。
それでも、やはりこうして、想いのある方々と一堂に会してお会いできる機会は、やはりかけがえのないものです。話題の中には、顔を突き合わせているからこそ話せる、現在、学童野球全体から各チーム、監督個人まで、それぞれが抱える問題や悩みといったものもあります。一メーカーとしても、私一個人としても、できることは限られるのかもしれませんが、すべてが耳を傾けるべき意見であり、貴重な提言です。真摯に受けとめ、次の一歩へとつなげていきたい。そんな思いを新たにした、今年の年明けなのでした。